研究課題
基盤研究(C)
表皮細胞のような柔らかい基盤の上で増殖する細胞系が引き起こすパターン形成を解析するための数理モデルの構築を行った.基底膜上の細胞分裂を接着強度の場として間接的に取り入れ,接着強度の増加による膜変形を記述できる数理モデルの導出に成功した.モデルの解析により,接着強度が大きいところで上向きの突起が形成されることを明らかにした.またモデルを拡張し,塑性変形を記述する基底膜モデルや表皮顆粒層のTJ発現層の数理モデルの数値計算を行い,実験結果をサポートする結果が得られた.
非線形動力学
本研究で提案する数理モデルは増殖細胞系の一般的な性質に基づくものであり,3次元の形態形成や多種の化学濃度場とのカップリングなど多くの系に拡張可能なモデルとなっている。従って様々な応用の可能性がある.また生命現象におけるパターン形成の一般的な原理の解明に寄与すると期待でき る。また皮膚科学の実験研究者に対して,数理モデルの予測に基づくフィードバックも与えており,生命科学や医学における学術的波及効果も期待できる。