研究実績の概要 |
『集合値計画問題』とは、実社会における多様な価値観を自然に表現することが可能な問題であり、「数理計画問題」、「多目的計画問題」からの拡張の流れとして、研究代表者によって導入されたものである。この問題は単なる拡張ではなく、チームやクラス、部署や会社等のグループ同士など、複数の要素のままで比較する状況をモデル化しているため、非常に広い適用範囲を持っている。
本研究の目的は、集合値計画問題の最適解に関して、(1)解全体の書き上げに関する研究、すなわち解集合の特徴付けについての研究、および(2)意思決定者が「望ましい」と感じる解、すなわち選好解についての研究を行うことである。これらは、インタラクティブ(対話的)に解を求める際に必要な理論であり、多目的計画問題においては研究がなされているが、集合値計画問題においては数学的な土壌の欠如のため、未だ十分な研究がなされていなかった。
このような状況を踏まえ、2019年度(平成31年度)には集合値計画問題の選好解を扱うための数学的な土壌作りと、多目的計画問題における過去の研究(Y. Sawaragi, H. Nakayama, T. Tanino, K. M. Miettinen 等)に基づいて、三種類の選好解(weighted sum method, ε-constraint method, global criterion method)の定義を行い、またこれらと解集合に関する特徴付けを行った。すなわち、本研究で最も重要な埋め込み空間の考察とその双対空間について研究を行い、その結果に基づいて、凸性の仮定の元で、線形スカラー化に基づいた研究を行った。
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