『集合値計画問題』とは、実社会における多様な価値観を自然に表現することが可能な問題であり、「数理計画問題」、「多目的計画問題」からの拡張の流れとして、研究代表者によって導入されたものである。この問題は単なる拡張ではなく、チームやクラス、部署や会社等のグループ同士など、複数の要素のままで比較する状況をモデル化しているため、非常に広い適用範囲を持っている。
本研究の目的は、集合値計画問題の最適解に関して、(1)解全体の書き上げに関する研究、すなわち解集合の特徴付けについての研究、および(2)意思決定者が「望ましい」と感じる解、すなわち選好解についての研究を行うことである。これらは、インタラクティブ(対話的)に解を求める際に必要な理論であり、多目的計画問題においては研究がなされているが、集合値計画問題においては数学的な土壌の欠如のため、未だ十分な研究がなされていなかった。
2023年度には、上記の状況および2019~2022年度に行った研究実績を踏まえながら、意思決定者が「望ましい」と感じる解、すなわち選好解についての研究を行い、また最終的な研究のまとめを行った。特に集合値計画問題において、先行研究で導入されているl型、u型、s型などを統合した解概念を導入し、これらの解を求めるための3つのスカラー化手法を提案し、理論面での保証、および実用面での解釈と、シミュレーションを行った。また本研究における手法は多目的計画問題における手法の拡張であるだけでなく、これまでには見つけることが出来ないような解についても対応できることも確認した。
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