研究課題/領域番号 |
19K03639
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
松下 慎也 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20435449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非凸関数 / 近接写像 / 作用素分割法 / l1ノルム |
研究実績の概要 |
本研究では、非凸最適化問題に対する最適化手法の開発について研究を行う。特に,非線形関数解析学の分野で活発に研究されている作用素分割法の知見を用いて,非凸最適化問題を解決する新たな求解法を開発することを目的とする。令和2年度の目標として,以下の内容を挙げた。 (1) 近接写像が構成可能な関数を適用できる非凸最適化問題について検討する。特にl0ノルムを目的関数に含む最適化問題に焦点を当て,関連するl1ノルムの近接写像が持つ性質・条件を整理する。作用素分割法を駆使することで最適化手法を提案し,その有効性について検証する。また,一般的な凸関数に対する近接写像について,理論の統一化を図る。最適化問題のモデルの一般化についても取り組む。 (2) 関連する専門家達との打合せ,関連する研究の集会や学会に参加することで情報を収集する。 これらに基づき研究を行った結果,凸関数および線形作用素と凸関数の合成関数の和の最小化問題に対して有効な求解法を提案することに成功した。また,解法によって生成された点列が解に近づく収束の速さを評価する検討も行った。今回扱った数学モデルは,画像処理の問題と直接関連することが分かったため,今後は具体例に提案手法を適用した場合の評価方法について検討する必要がある。また,画像処理以外の工学分野への応用については調査が十分ではないため,今後調査する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗がおおむね予定通りであることの理由として,凸関数および線形作用素と凸関数の合成関数の和の最小化問題に対する求解法を提案できたことが挙げられる。扱った問題は,求めたい問題の解がスパース(疎)である時,通常はl0ノルムを用いて定式化される非凸最適化問題を効率的に解くことが期待出来る解法となる。また,遠隔ではあったが関連する研究集会,国内学会に出席して講演することができ,本研究に関連する内容について他の研究者と意見交換することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も今年度同様,研究集会や学会の現地での意見交換が出来にくい状況になることが予想されるが,zoomを活用することで他の研究者との打ち合わせ,セミナー聴講,学会参加などを積極的におこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、旅費を使用した出張ができなかったため。令和3年度開催予定の学会に参加する。また、数値実験で必要となる物品購入費に充てる。
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