本研究の主要な目的は,数値実験から導かれる予想命題『単連結領域で急激な人口の流出・流入があると,ある部分領域で人口が消滅し,同時に別の部分領域で人口分布が超関数の意味でデルタ関数に収束する』を数理統計的手法と数値解析的手法を組み合わせて証明することであった.パラメータ値に制限付きであるが,本命題の証明に成功した.出発点となったのは,Villaniの研究(統計学的手法であるエントロピー法を統計力学の非線型偏微分積分方程式であるBoltzmann方程式へ応用する)であった.この結果を人口移動の精密な数値計算へ応用した.これにより工業賃金分布と農業賃金分布の統計量を計算した.
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