研究課題
基盤研究(C)
本研究では、非線形動力学と線形応答理論を用いて低温度差スターリングエンジンの物理学を発展させた。特に、エンジンの熱力学振り子モデルから予測されたわずかな温度差から自律的な運動が生じる分岐メカニズムを実験的に実証した。また、線形応答理論によってエンジンの最大熱効率と最大仕事率時の熱効率を定式化し、これらを特徴づける性能指数を決定した。これらの成果は低温度差スターリングエンジンの理解と技術に貢献すると期待される。
非線形非平衡系の物理学
低温度差スターリングエンジンはわずかな温度差から仕事を取り出す自律熱機関であり、持続可能社会に貢献する可能性を秘めた熱技術として知られる。本研究では特に、低温度差スターリングエンジンの運動メカニズムを力学系の解の分岐現象として予測した先行研究の結果を実験的に実証した。また最大熱効率・最大仕事率時の熱効率を定式化し、エンジンの機能とその原理的限界を定量化した。原理的・応用的な可能性を持つこれらの成果は、今後の低温度差スターリングエンジン技術に資する学術的・社会的意義を持つものであると考えられる。