九州大学のスーパーコンピューターを用いて圧縮性流体の大規模計算を行い、以下の項目の研究を行った。 1) LESを用いた3次元エアジェット楽器の解析: 前年度に引き続きフットの付いたオルガンパイプの解析を行い、その成果をイタリアで開かれたForum Acousticum2023で発表した。その後、管体とフットの圧力振動とジェット振動の間の位相差に着目して、フットの共鳴周波数と楽器の発振の安定性の関係を探求し、その成果を原著論文にまとめAcusticaに投稿した。また、オルガンパイプのジェット流速と音波強度の関係が対数関数的になることに注目し、数値解析を行い、実験結果を定性的に再現することに成功した。 2) 音孔の開閉に伴う発振音の変化の再現: 2つの音孔を持つ管楽器の2次元モデルの解析を行い。閉じる時と開く時の動作の再現に成功し、音孔の開閉に伴う音の高さの変化の再現に成功した。 3) シングルリード木管楽器と金管楽器のマウスピース内での音の発生: ダブルリード楽器であるオーボエリードの2次元モデルを圧縮性DNSを用いて解析した。特に、リードの動きをより現実に近いものにした解析を行い、リード振動が倍音の豊かさの鍵となることを示し、その成果を国際会議で発表した。 4) 音響機器の解析: 熱音響エンジンの解析を行い、音波発生の基本的な過程の再現に成功し、その成果を国際会議で発表した。また、昨年度まで行っていたバスレフ型スピーカーのポートノイズの解析は、ヤマハ株式会社との共同研究に進展した。
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