研究成果の概要 |
スピン模型を用いて, スピン配置とスピン相関の機械学習への影響の違いについて研究を行なった. 我々はスピン配置が示す見たままの視覚情報と, スピン相関の情報を含むグラフ表現を機械学習の学習データとして与えたとき, 学習結果はそれらの情報をどのように反映するのかについて考えた. 古典XY模型と量子XY模型へのKosterlitz-Thouless相の判別では, 古典XY模型での学習結果をそのまま量子XY模型に適用できることを確認した. 逆くりこみ変換への適用では, グラフ表現が持つスピン相関の情報を学習データに取り込むことにより, 逆くりこみ変換の精度が大きく向上することを確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン模型のグラフ表現は元のスピン変数を用いた記述に比べ, 様々な場面で有用であることが知られている. 本研究では機械学習の学習データとしてグラフ表現がスピン変数より常に同等もしくは優位であることが示され, 視覚情報(スピン変数)が陰に持っているスピン相関(グラフ表現)が重要となることと, 学習データから真に重要な情報がいつでも取得されるわけではないことが明らかになった. 視覚情報のみの場合とスピン相関を含めた場合とで学習に有意な差が見られたことは今後の研究にも生かされる重要な知見が得られたと考えている. 本研究で得られた結果は今後の人工知能技術など社会への波及効果も期待される.
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