位相自由度をもつ飛翔・遊泳モデルを位相縮約法により解析するために、解析手法を改善し、また幾つかの数値モデルの解析を行った。流体系は大自由度であるため,位相縮約法を単純に適用すると計算時間が膨大となり、現実的な時間で解析が難しい。ここでは基本的な関数の一つである位相感受関数を計算する手法を開発することを目指した。まず、アジョイント方程式を変形しすることで方程式の時間発展アルゴリズムのみを使った手法を提案した。その手法を更に改良し、解析時に現れる同次連立方程式をゼロ固有値問題と捉え直し,レイリーリッツの手法と逆べき法を組み合わせる改善手法を開発した。これらの手法は、反応拡散方程式系において答えが分かっている問題を用いて検証し、その後円柱後流のカルマン渦の解析、平板翼の解析に適用し、良好な結果を得た。以上の内容は学術誌に発表した。更に飛翔・遊泳モデルとして、翼駆動系と流体系が結合したモデルを開発し、その系を解析した。このモデルは翼のはばたき運動が自励的な駆動系で記述されており、位相自由度を持つ。単独翼の解析は上記解析手法を用いて解析し、複数翼の干渉については通常の時間発展計算により解析を行った。本研究成果は日本物理学会、日本流体力学会年会、米国物理学会流体力学分科会など国内外の研究会で発表した。また国外開催のセミナーに招待をうけ講演した。このほか生物流体に関する国内研究集会を助成期間中毎年企画・開催し、特に2021年度には国際研究集会を企画・開催し、いずれも成功させた。
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