研究実績の概要 |
2次元の共形場理論において、通常のradial量子化で取られる時間発展とは異なる”時間発展”を考えることにより、系の空間的大きさが無限大になったり、エンタングルメントエントロピーの計算の鍵となる”ハミルトニアン”が得られることが理解されてきている。そこで時間発展の切り口を変えることにより、共形場理論の性質の包括的な理解をさらに推し進めることをすることを目指した研究を行った。
これまで行ってきたEuclid空間での研究から当初の研究計画通り連続のVirasoro代数を含むVirasoro代数をそれぞれの時間発展の場合について構成することに成功し、その物理的意味について議論することができた。引き続きEuclid空間およびMinknowski空間について統一的に、かつ2次元以上の場合についても同様な取り扱いが議論できることを見出した。
またWen, Ryu, LudwigらによるEntanglement Hamiltonianとの関係の研究を受け、対応するHamiltonianにを包含する形のVirasoro代数を具体的に構成した。その際の解析から、空間の中に穴をあけ、cut-offを導入することが必要であることがわかった。これによってVirasoro代数が球面上のものとは異なり、弦理論で言うone-loopに対応するトーラス上のVirasoro代数となるが、エンタングルメントエントロピーについての深い洞察を得るべく、この空間にcut-offの穴が開くことを作用素代数論的な観点から理解することを目指した。
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