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2023 年度 実績報告書

強相関電子系における量子ビットの形成と制御の理論

研究課題

研究課題/領域番号 19K03708
研究機関東北大学

研究代表者

柴田 尚和  東北大学, 理学研究科, 教授 (40302385)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード近藤効果 / 量子ビット / 量子スピン / 量子ホール系 / 端状態
研究実績の概要

物質中の特定の場所に局在する局在電子と物質中を遍歴する遍歴電子は、物質を構成する原子の種類や配置に依存して様々な形で存在し、その物質の伝導特性や磁性の担い手となっている。本研究はこの2種類の電子を人工的に制御することで生じる新しい物性現象について理論的に調べたものである。局在電子と遍歴電子の共存系において普遍的に見られる現象として、低温での電気抵抗の上昇や磁性の消失を引き起こす近藤効果が知られている。その本質は一つの局在電子が遍歴電子一つを束縛してスピン一重項を形成するというものである。本研究では、空間的に複数の局在スピンを配置して電子間の相互作用を増やしたとき、複数の局在スピンによって遍歴電子が段階的に一つずつ順次束縛されて、その不連続な束縛電子数の変化によって局在スピン間の量子的な相関が大きく変化する多段の近藤効果が生じることを明らかにした。この多段の近藤効果は遍歴電子との相互作用のの強さを調整することで局在電子のスピンの量子状態を制御可能にするもので、さらに局在スピンの配置と遍歴電子の密度を変化させることで、様々な量子状態の遷移を生み出すことを可能にする。
この解析には、遍歴電子のエネルギー準位を離散化する系の境界条件の影響を取り除く必要があったが、そのために適用したサイン二乗変形法と組み合わせた密度行列繰り込み群法の有効性も本研究を通して明らかにした。
さらに本研究の最終年度には量子状態の制御に必要になるノイズや不純物に対する耐性がある散逸のない1次元伝導チャンネルを実現するための量子ホール系の端状態の構造とその安定性を確認する研究を行った。作成する試料のゲート構造や系に加える局所ポテンシャルの形状と位置を変えることで調べ、端状態に形成される電荷励起の実空間構造と安定性を明らかにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dynamics of the fractional quantum Hall edge probed by stroboscope measurements of trions2023

    • 著者名/発表者名
      Kamiyama Akinori、Matsuura Masahiro、Moore John N.、Mano Takaaki、Shibata Naokazu、Yusa Go
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 122 ページ: 202103-1-5

    • DOI

      10.1063/5.0138332

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Coherent-Incoherent Crossover of Charge and Neutral Mode Transport as Evidence for the Disorder-Dominated Fractional Edge Phase2023

    • 著者名/発表者名
      Hashisaka Masayuki、Ito Takuya、Akiho Takafumi、Sasaki Satoshi、Kumada Norio、Shibata Naokazu、Muraki Koji
    • 雑誌名

      Physical Review X

      巻: 13 ページ: 031024-1-15

    • DOI

      10.1103/PhysRevX.13.031024

    • 査読あり
  • [学会発表] 幾何学フラストレーションを有する系における量子アニーリング過程の数値解析Ⅱ2024

    • 著者名/発表者名
      長谷川博紀, 柴田尚和
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
  • [学会発表] ν=1/3分数量子ホール状態におけるエッジチャネルの伝導特性2023

    • 著者名/発表者名
      秋山和範, 柴田尚和
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
  • [学会発表] 強磁場ディラック電子系における占有率1/3の基底状態の解析2023

    • 著者名/発表者名
      橋川莞, 柴田尚和
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
  • [学会発表] 幾何学的フラストレーションを有する系における量子アニーリング過程の数値解析2023

    • 著者名/発表者名
      長谷川博紀, 柴田尚和
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
  • [備考] 研究紹介

    • URL

      http://www.cmpt.phys.tohoku.ac.jp/~shibata

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公開日: 2024-12-25  

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