本研究が明らかにした多段の近藤効果は、遍歴電子と局在スピンの間の電位差を制御することで、局在スピンと遍歴電子の間で量子状態の組み換えを逐次的に引き起こすという、電圧印可による局在スピン間の量子相関の制御を可能にする技術的意義を有している。また、この多段の近藤効果は、遍歴電子と局在スピンがスピン一重項を形成して局在スピンの磁性が消失する従来の近藤効果とは全く異なり、局在スピンの空間配置と遍歴電子の密度に応じた様々な量子状態間の遷移を可能にする多彩な量子的遷移を生み出す新たな物性現象としての学術的な意義も有している。
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