研究課題
本年度は,以下の研究に取り組んだ。(1)重い電子系磁性体のCeRh6Ge4のフェルミ面の研究: CeRh6Ga4 は TC=2.5 K で強磁性転移を示す重い電子系体である。本年度は昨年度育成に成功した純良な単結晶を用いて,dHvA効果の実験を行った。また,f電子のない参照物質LaRh6Ge4の単結晶育成にも成功し,dHvA効果の実験を行った。その結果,CeRh6Ge4のフェルミ面は,先行研究で報告されたような4f電子が局在したモデルではなく,遍歴したバンド計算で説明されることを明らかにした。このことは,CeRh6Ge4の強磁性が遍歴4f電子によるものであることを示している。(2)新物質Yb4Ru7As4の単結晶育成:本研究では,新物質Yb4Ru7As4の良質な単結晶育成に成功し,TN=2.5Kの反強磁性体であること,弱い強磁性を伴っていること,電子比熱係数が120mJ/(K^2・Yb-mol)の比較的重い電子系であることを明らかにした。(3)ノーダルラインセミメタル物質YbMnSb2の圧力下のフェルミ面の研究:YbMnSb2は,TN=345Kの反強磁性体で,最近フェルミ面近傍にノーダルラインをもつトポロジカル物質であることが議論されている。本研究では,加圧下の磁気抵抗の測定からシュブニコフ・ドハース振動の観測に成功し,加圧と共に小さなフェルミ面がさらに小さくなることを見いだした。今後更なる加圧により,ノーダルラインがフェルミ準位に近づき,リフシッツ転移を起こし,そこでの他の物性に影響を及ぼすことが期待される。(4)エキシトニック絶縁体候補物質 Ta2NiSe5のドーピング効果の研究:本年度は,TaサイトをTiで置換することを試みた。その結果,低温の電気抵抗率の増大は他の元素置換と比べて大きく,8~10K でピークをとり減少するような半金属的な振る舞いを見出した。
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Journal of Physical Society of Japan
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