| 研究課題/領域番号 |
19K03725
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| 研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
大森 有希子 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (60631877)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | ディラック電子状態 / 分子性固体 / 構造相転移 / 電子格子相互作用 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、分子性固体 theta-(BEDT-TTF)_2I_3 への加圧実験で観測された、金属状態からディラック電子状態への構造相転移の機構を理論的に明らかにすることである。これにより、 自発的格子歪みによるディラック電子状態発現の初めての例を与えるとともに、alpha-(BEDT-TTF)_2I_3 をはじめとする、格子の対称性が著しく低い分子性ディラック電子状態の起源を示すことを目指す。
今年度は、前々年度（前年度は育児休業に伴う研究中断期間）までに明らかにした、上記の相転移を与えるミニマムな理論模型とその基底状態の数値解析の結果を受け、格子模型の理論解析を行った。数値解析では、1軸方向の格子変位のみを考慮し、BEDT-TTFの分子軌道が与える格子変位と遷移積分値の関係を取り入れた拡張パイエルス-ハバード模型を用いたが、この理論解析ではそれを簡単化し、1/4フィルドの三角格子上でディラック電子状態が発現するために必要な対称性の調査を行った。その結果、BEDT-TTF分子によるディラック電子状態は、ある対称性を持つ三角格子上の1/4フィルド pi-flux 模型と関連づけて理解できることが明らかになった。これらの結果は alpha-(BEDT-TTF)_2I_3 の格子状態と対応づけることができ、そのディラック電子状態の理解に役立つものである。現在はこれらの成果を論文にまとめて発表する準備をおこなっている段階である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
育児休業からの復帰に伴い、育児のための時短勤務を取得した結果、研究に割けるエフォートが減少してしまったため。
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| 今後の研究の推進方策 |
2022年度後半から再び育児休業に入る見込みであるため、それまでにここまでの研究成果を論文として公表することを目指す。また、次段階であるネスティング由来の長距離秩序まで考慮した模型解析に着手する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画よりも進捗が遅れており、計画では今年度に購入予定であった大規模数値計算用の計算機サーバの購入を見送った。また、感染症の流行に伴い、多くの研究会等がオンライン開催になったため、旅費を計上する必要がなくなった。これらの理由により今年度の使用額が当初の見込みよりも減少した。
次年度以降に計算機サーバの購入を検討しているが、2022年度後半から再び育児休業に伴う研究中断期間に入ることが予定されているため、研究の進捗によっては購入時期をこの中断期間を終えた後とする可能性がある。
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