圧力は温度と並んで,物質の状態を変えるひとつのパラメータであるものの,物質中の電子状態を変えるためには数万気圧程度の圧力が必要となります。先人による様々な努力の結果,近年では多くの実験が比較的手軽に実施できるようになりましたが,物質の微視状態を調べる中性子やX線による実験のためには更なる工夫が必要です。我々は物質の磁気状態を調べるために,数万気圧の圧力下で比較的大きな試料(1mm3)でも実験のできる圧力セルを開発し,圧力下の磁気状態の変化を捉えることに成功しました。目標とした圧力には届いていないため更なる改良は必要ですが,今後,物質の新しい状態を捉えることが出来る可能性があります。
|