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2020 年度 実施状況報告書

水素吸蔵金属における水素の急速・高密度吸蔵現象と新奇物性現象の検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K03754
研究機関広島工業大学

研究代表者

安塚 周磨  広島工業大学, 工学部, 教授 (80382034)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード水素吸蔵合金 / 格子欠陥 / コットレル雰囲気 / 超伝導
研究実績の概要

2015年,硫化水素を極限まで圧縮し,冷却すると203 Kで超伝導を示すという報告がなされた.これは従来のフォノン媒介機構のMgB2(Tc = 39 K)や水銀系銅酸化物(Tc = 153 K)をも塗り替える記録である.このような背景から金属水素化物の超伝導に関する興味が再燃しており,研究代表者は水素吸蔵合金として知られるPdDxに注目している.

研究代表者が見出したPdDxにおける不均一な超伝導状態に関する知見を得るために,本年度は交流帯磁率測定装置を立ち上げた.励磁コイルに交流電流を流すために,発振器にはロックイン増幅器SR830を用いて電圧1 V,周波数12 Hz ~ 4 kHzの交流電圧を出力した.誘導起電力は微弱なため,前置電圧増幅装置SR560を用いて信号を100倍にしたものをロックイン増幅器で検知した.試料の温度計測と温度制御には,レイクショア社の温度コントローラ325型を用いた.測定プログラムはAgilent VEE Proを用いた.本研究室既設のGifford-McMahon 冷凍機を用いることにより,3.0 < T < 300 Kの温度範囲で測定を行った.10 K以下での測定温度分解能は0.01 Kである.今回の測定により明瞭なマイスナー信号を確認することができた.今後はこの交流帯磁率測定装置とこれまで使用してきた電気抵抗率測定装置を用いることで,PdDxをはじめとする水素吸蔵金属において発現する不均一な超伝導状態の評価を行っていきたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度はコロナ禍のためオンライン授業等の対応に追われ,研究時間を思うようにとることができなかった.次年度もコロナ終息の見通しは立っていないが,今年度よりは授業関係の業務負担が減ることから,ある程度の研究時間を確保できると考えている.交流帯磁率測定装置が立ち上がったので,この装置を駆使して研究計画に沿った内容を消化していきたい.

今後の研究の推進方策

今後は,電気抵抗測定による物性評価に加え,交流帯磁率測定による熱力学的量の観測によって水素吸蔵金属における超伝導特性の評価を行っていく.また,交流電圧を重畳させた電解チャージ法により高速水素吸蔵の可能性を引き続き探っていく.熱処理をより系統的に行うために1000℃まで加熱可能な電気炉を購入し,超伝導転移温度とRRRの関係を実験的に明らかにしていく.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため、現在までの研究の進捗状況が遅れている。これまでの研究の遅れを取り戻すために複数の試料を同時測定ができるように測定の効率化を目指し、デジタルロックイン増幅器等の測定機器の購入により実験環境を整備していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 金属水素化物PdDxの超伝導相における格子欠陥の役割2021

    • 著者名/発表者名
      井下 聖賀,安塚 周磨
    • 雑誌名

      広島工業大学紀要研究編

      巻: 55 ページ: 1-5

    • オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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