研究課題/領域番号 |
19K03763
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 美加 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (00610867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 液体 / 液体・ガラス転移 / 中距離秩序 / エイジング / 熱測定 |
研究実績の概要 |
液体・ガラス転移では、温度の低下とともに、緩和時間などの動的性質が10桁近く増大することが知られている。その温度依存性は物質によって異なり、フラジリティと呼ばれるパラメーターで分類されている。アレニウス的になるものを強いガラス、有限の温度で発散するように見える温度依存性をとるものを弱いガラスと呼び、この発散が起こる温度は、一般的には、実験で観測されるガラス転移温度以下にあり、理想ガラス転移温度と呼ばれている。一方で、こうした緩和時間の発散が実際に起こるのかどうかは自明ではない。このため、時間スケールが理想ガラス転移温度において発散するという考え方とは別に、低温ではその温度依存性が変わり、時間スケールの発散は避けられる、という考え方もあり、両者の間で論争が続いている。さて、ガラス転移温度以下の低温では、系は非平衡状態にあり、その平衡化過程はエイジングと呼ばれている。本研究では、熱測定を用いて、エイジングの時間スケールを観測し、上記の問題の解決を試みた結果、低温での時間スケールの発散は起こらないことを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい解析手法を導入し、低温での時間スケールの温度依存性について、信頼度の高い議論ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
低温での時間スケールの温度依存性の解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験よりも基礎データの解析に時間を費やしたため。
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