研究実績の概要 |
引き続き細胞性粘菌やニューロンの物性の対称性が集団運動へ与える影響を調べた. これまでの研究は集団の秩序状態が安定するようなパラメータ領域での研究を行ってきた. これは集団運動に見られる複雑なパターンは秩序形成によるものと考えていたためである. 一方でこのような秩序状態は細胞間の表面張力が強い場合に対応する. 一方近年の細胞組織の他グループの研究により, 表面張力を弱めた場合に固液転移が起こることが知られている. このような液体状態への転移に伴う細胞配位の柔軟性の獲得は集団運動中の新たなパターン形成を産み出す可能性がある. 本年度の研究はこれまでの固体状態以外での研究を行った 我々は表面張力を下げながら細胞集団運動に見られる秩序を調べた. その結果確かに細胞運動中の細胞配位が固体状態から液体状態へ遷移する現象が見られた. またこの繊維に伴って運動秩序の減少や大きな集団運動速度の揺らぎが見られた. その詳細な状態の解析はまだ機器の故障等で行えていなかった. 今後はこの故障を復旧したため, 研究機関を延長しこの液体状態や固液転移点付近で現れる状態に的を絞り, 集団運動でのパターン形成と対称性の関係を調べる予定である.
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