研究課題/領域番号 |
19K03775
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
池原 飛之 神奈川大学, 工学部, 教授 (90242015)
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研究分担者 |
犬束 学 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学部門, 研究員 (70735852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グラフト高分子 / 固体基板 / 融点 / 結晶化速度 |
研究実績の概要 |
本研究は、固体基板にグラフトした結晶性高分子の結晶化と構造形成に関する実験結果から、結晶性グラフト鎖の性質を明らかにしようとするものである。前年度まではシリコン基板表面に結晶性高分子であるpoly(ε-caprolactone) (PCL) 鎖をグラフトし、それを等温結晶化させて試料を作成した。そのとき、基板にグラフトする分子鎖の数密度および分子量を変化させて試料を作成した。今年度は数密度や分子量は変化させずに、成長速度の測定に最適と考えられる条件で試料を作成し、ラメラの成長速度の測定と解析に注力して研究を遂行した。またPCLの分子鎖を基板にグラフトさせないで高分子薄膜を作製し、そこでのラメラの成長速度を測定することで、グラフト膜と薄膜の結果を比較して議論することを試みた。昨年度に引き続き、得られた試料において等温結晶化で成長したflat-onラメラ(基板に対して平行なラメラ)の温度を徐々に高くして、それらの融解温度を測定することで、ラメラ厚と融解温度の関係を得て、その関係からグラフトされた高分子鎖の平衡融点を求めた。この解析過程では結晶ラメラの分子鎖折りたたみ面の表面自由エネルギーも得ることができた。ラメラ成長速度の測定結果では、測定するラメラによって速度が異なることが示され、温度依存性は信頼性が十分高いと考えられるものだった。この成長速度のデータを平衡融点のデータと合わせて解析し、ラメラの成長に影響するパラメーターを議論することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初予定していた研究計画のとおり進捗しているため。ただしコロナ禍への対応から今後研究論文の作成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
実験データがそろってきたため、細部の精査を行い、研究成果を論文にまとめて公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験を工夫した結果、使用額を当初の予定より抑えることができたため。その分は次年度に論文校閲費や消耗品として使用する予定である。
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