研究課題
球状トーラス(ST) HIST装置では、同軸ヘリシティ入射(CHI)法によって生成したST配位プラズマにおいて、自己組織化、磁気リコネクション、MHD緩和、乱流、2流体フロー平衡等について調べている。特に、プラズモイドが介在する磁気リコネクションについて独創的な実験データが得られ、イオンの異常加熱について解析を行っている。その成果について、2021年5月に開催が延期されたIAEA-FEC国際会議や11月のプラズマ核融合学会で発表を行った。また、国内のST研究のサマリー発表にも加えられ、Nuclear Fusionにも掲載された。その成果の内容は、以下の通りである。プラズモイドリコネクションでは、電流シート内に多数なプラズモイドの生成に起因する乱流的構造がリコネクションを加速する機構が提案されている。我々は、CHI生成STプラズマにおいて、伸長された電流シートの中で観測された周期的な磁気揺動に着目し、プラズモイド駆動リコネクションの検証を行った。また、プラズモイドリコネクションに起因する高速イオン加熱は磁場エネルギーが運動エネルギーに変化される現象であり、天体宇宙プラズマにおいてその機構解明は重要となっている。ドップラーイオン温度分光計測の結果について、磁気リコネクションによるイオン加熱に関連する新規なデータが得られた。大きなフロー揺動があるプラズマ入射の初期の時間帯だけでなく、上記のプラズモイド振動波形観測される時間帯で合体と分裂のリコネクションが繰り返される過程でイオン加熱の増幅が確認された。
4: 遅れている
実験データの解析を行い、プラズモイドリコネクションによるイオン加熱に関する重要な結果が得られ、その成果は2021年5月開催のIAEA-FEC 国際会議、11月のプラズマ核融合学会で発表を行った。しかし、2021年3月末に定年退職となり、同時に、新型コロナの感染拡大が継続し、緊急事態宣言が繰り返し発表されたことから、大学内の共同研究者との協働も含め、研究活動が大幅に制限された。以上の理由により、研究の推進が大幅に停滞した。
国内外で変異型新型コロナウイルスの感染がまだ続いている状況であるが、ワクチン接種の普及に伴い、昨年度に比べて多少緩和されている状況である。そのため、感染状況に合わせて、本年度は、これまでの本研究で得られたマルチプラズモイド磁気リコネクションが駆動するイオン加熱機構の傍証を目的に関連する国内外の同軸ヘリシティ入射実験に参加協力する。また、引き続き、これまでに大量に取得した実験データの解析を行い、論文化を進めると同時に、その成果発表を国内外で実施していく予定である。
新型コロナの影響の受け研究計画通りに実施できなかったため、当該助成金が生じた。次年度に国内外の研究協力、HIST実験データの解析、研究成果の発表、旅費、論文投稿等を中心に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Nuclear Fusion
巻: 62 ページ: 042011 (15pp)