輻射荷電粒子に対する古典電磁気学における運動方程式として Lorentz-Abraham-Dirac (LAD) 方程式が広く知られている。しかしLAD方程式は時間に対する3階の微分項を含むことから、解析的な積分が難しいだけでなくその数値的な積分も非常に難しいことが分かっている。そのため輻射反作用が無視できない系の解析においては、LAD方程式の輻射反作用力を摂動近似した Landau-Lifshitz (LL) 方程式などの積分可能な方程式を代用することが多いが、その妥当性については検討が必要である。 昨年度までの研究において、LAD方程式と代用される主要な方程式に対して定常解を導出しその定量的な比較を行うことで、量子効果が無視できる領域においてはLAD方程式とこれらの方程式の差は極めて小さいことを示した。また、LAD方程式とLL方程式、Mo-Papas方程式、Ford-O’Connell方程式を用いた場合の輻射出力や量子パラメータの定量的比較を行い、高階微分項を含むSchott項を質量に繰りこんだ方程式についても検討を行った。 本研究は、昨年度が最終年度であったが、最終年度末に参加した国内会議が開催の直前にオンライン化されたため旅費の繰り越しが発生したため、研究機関を1年間延長した。
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