研究課題/領域番号 |
19K03794
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
星野 一生 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50513222)
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研究分担者 |
林 伸彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, グループリーダー(定常) (10354573)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 核融合プラズマ / ダイバータ / 非接触ダイバータプラズマ / 原子分子過程 / PICモデル |
研究実績の概要 |
非接触ダイバータプラズマの物理機構とその動的応答特性の解明を目指し、2019年度は、(1)0次元モデルを用いた非接触ダイバータプラズマの解析、(2)0次元中性粒子モデルとPICモデルの統合を進めた。 (1)では、原子の励起状態及び分子の振動励起状態、詳細な原子分子過程を考慮した0次元モデルをダイバータプラズマに適用し、非接触ダイバータプラズマの解析を行った。プラズマ密度が低い場合の非接触ダイバータプラズマでは、プラズマ損失過程として電子衝突による再結合過程より分子活性化再結合(MAR)が支配的となる結果が得られ、直線型プラズマ装置等で得られている観測と矛盾しない。また、プラズマの熱パルスを簡易模擬した非定常解析を行った。熱パルスにより電離反応が大幅に増加する一方、同時に振動励起分子が増加する。これにより振動励起分子をソースとするMARが促進されることで、電離によるプラズマ密度増加を抑制されており、熱パルス時にもMARにより非接触ダイバータプラズマが維持されることを示唆する結果を得た。 (2)(1)の0次元モデルでは、プラズマモデルが非常に簡易的であるため、エネルギーの緩和過程等を正しく模擬できない。そこで、プラズマについてはPIC(Particle-in-Cell)モデルを別途開発し、0次元モデル(中性粒子部分のみ)と結合した。理論値との比較からモデルの妥当性を確認した。初期解析では、(1)の0次元解析と同様に、MARにより非接触ダイバータプラズマが形成される結果が得られ、開発したモデルが概ね妥当であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
0次元モデルによる基礎的解析、PICモデルと0次元モデルの結合が完了し、初期解析結果が得られた。詳細な解析については未完了の部分があるが、計画の大部分は達成できており、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の解析を継続し、非接触ダイバータプラズマの基本特性の理解及び動特性の解析を進める。並行して、中性粒子モデルの拡張に着手し運動論的統合モデルの構築を目指すと共に、コード間ベンチマーク、実験データとの比較に向けた解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
別予算からの支出及びTV会議の活用により旅費に未使用額が発生した。また、研究の進捗状況を鑑み、コード開発・解析用計算機の購入を見合わせた。未使用分は、次年度、購入を見合わせた計算機の購入にあてる予定である。
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