研究課題/領域番号 |
19K03796
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡本 征晃 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (60508290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トカマク / MHD / 共鳴摂動磁場 / プラズマ流 / プローブ計測 |
研究実績の概要 |
トカマク型核融合炉において、共鳴摂動磁場(RMP)を用いた熱負荷やMHD不安定性の制御が期待されているが、プラズマ中のRMPの伝搬過程の物理機構が解明されていないため、RMPの遮断・浸透条件の定量的な予測が出来ていない。本研究では、プラズマ内部のRMP磁場強度やプラズマ流速の直接計測が可能な小型装置を用いて、トロイダル・ポロイダル流速、RMP磁場強度や位相の関係を計測し、理論予測と比較することで、プラズマ流のRMP伝搬に対する影響を定量的に評価することが目的である。 初年度はプラズマ流を評価するために必要となる電子温度・密度分布やマッハ数を計測できる小型で高空間分解能を有するトリプルプローブアレイとマッハプローブアレイを積層セラミックスを用いて制作し、小型トカマク装置HYBTOK-IIへと取り付けた。新設したトリプルプローブアレイにおいては、実績のある既存のトリプルプローブでの電子温度・密度計測との比較により実用性を検証を行い、プラズマ流速を評価するうえでの十分な精度を確認している。理論計算では、簡約化MHD方程式に基づく磁場構造の非線形応答計算を行い、ExBドリフト速度やRMPの回転速度の関係によりRMPの伝搬過程が変化することを確認している。今後は、小型トカマク装置HYBTOK-IIでのRMP印可実験を行い、初年度に新設した計測器を用いて、RMPの回転速度を変化させたときのプラズマ流速を評価し、得られる実験結果を再現できる理論モデルを確立する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、プラズマ流に着目し外部から印可するRMPのプラズマ中の伝搬過程を物理的に明らかにすることを目的としている。そのため、プラズマ中の局所的な各種物理量を計測するための計測器を制作・設置する必要があり、初年度は電子温度・密度分布を計測するためのトリプルプローブアレイの制作とその検証実験が完了しているため、マッハプローブ計測によるプラズマ流の評価する準備が整っている。また、理論計算においてもプラズマ流速とRMPの回転速度から遮蔽が確認される初期結果も得られており、順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究活動により本研究で必要な計測器の制作と取り付け作業は完了しているため、今後は小型トカマク装置HYBTOK-IIを用いてRMP印可時のプラズマ内部の径方向RMP揺動の振幅と位相分布、電子温度・密度分布、ポロイダル・トロイダル流速分布を計測することを予定している。本研究で対象とするプラズマはMHD不安定性による影響を分離するために、テアリングモードが安定と予想されるプラズマ表面の安全係数が7程度の放電に 対して、m/n = 6/1のモード構造のRMPを印可した際のプラズマ内部計測を行う。理論計算からプラズマ流とRMPの回転速度が重要となることが予測されるため、RMPの回転速度を変化させながらデータを収集することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
トリプルプローブアレイ計測により必要なADCの数が不足していたため、新規にADCモジュールを購入した。次年度もマッハプローブアレイ計測も同時に行うため追加でADCモジュールを購入する予定。
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