研究実績の概要 |
トカマク型核融合炉において、共鳴摂動磁場(RMP)を用いた熱負荷やMHD不安定性の制御が期待されているが、プラズマ中のRMPの伝搬過程の物理機構が解明されていないため、RMPの遮断・浸透条件の定量的な予測が出来ていない。本研究では、プラズマ内部のRMP磁場強度やプラズマ流速の直接計測が可能な小型装置を用いて、トロイダル・ポロイダル流速、RMP磁場強度や位相の関係を計測し、理論予測と比較することで、プラズマ流のRMP伝搬に対する影響を定量的に評価することが目的である。 初年度にプラズマ流を評価するために必要となる電子温度・密度やマッハ数の径方向分布が計測可能な小型で高空間分解能を有するトリプルプローブアレイとマッハプローブアレイを小型トカマク装置HYBTOK-IIへと設置し、2年目はm/n = 6/1のモード構造のRMPを回転速度や回転方向を変化させたときのプラズマ内部の径方向磁場揺動分布、電子温度・密度分布、プラズマ流分布の同時計測を行い、プラズマとRMPの回転方向が同じ場合にRMPの伝搬が、回転が逆の場合にRMPの 遮蔽が確認され、RMPの 遮蔽が見られたときにポロイダル流速の局所的な増加を観測した。3,4年目に、RMPの印加周波数やプラズマの電子温度・密度を変更させたときのプラズマ回転速度に対する磁場の浸み込みの実験データの取得を行った。計測結果より、同程度の電子温度分布とポロイダル回転速度分布を持つ放電では、RMPの浸透がRMP回転速度に依存する結果が得られた。また、三場簡約MHD方程式を用いたRMPによる磁気面の再結合の非線形応答計算でも同じ傾向の結果が得られている。
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