研究課題
重水素ガスを用いたプラズマ実験においては、プラズマの外に出てくる中性子総発生率及び中性子発生分布を計測することで、プラズマ内部の高エネルギー粒子閉じ込め情報及びその時間変化を得ることが出来る。高エネルギー粒子によってアルヴェン固有モードが励起された際に、既設のアルヴェン固有モードの空間分布計測器及び損失高エネルギーイオン束計測器に、中性子計測器を加えることでプラズマ内部に閉じ込められている高エネルギー粒子の輸送の様子を取得する。今年度は、これまでに開発した中性子検出システムを大型ヘリカル装置に設置した。比較的高磁場のフル重水素ビーム加熱重水素プラズマ条件でアルヴェン固有モード励起実験を行った。アルヴェン固有モードの空間分布、損失高エネルギー粒子束、及び中性子総発生率の時間変化を計測した。アルヴェン固有モードの空間分布については、線形固有モード解析コードであるアメリカオークリッジ国立研究所で開発されたＡＥ３Ｄとの比較を進めている。損失高エネルギー粒子束及び中性子束の時間変化について、実験結果と比較するため、トロイダルアルヴェン固有モード揺動を考慮した軌道追跡数値シミュレーションの整備を行った。高エネルギー粒子励起不安定性による高エネルギー粒子輸送に係る内容で、Nuclear Fusion誌及びPlasma Fusion Reseach誌において論文を１編ずつ出版した。中性子分布計測を用いた高エネルギー粒子の空間分布に係る内容で、Plasma Physics and Controlled Fusion誌に論文を投稿し、アクセプトされた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、昨年度行った実験よりも高い磁場の条件において実験を実施した。アルヴェン固有モードの空間分布解析を進めた。数値シミュレーションについては、整備を終えており、概ね順調に進展していると評価出来る。
・高磁場・低磁場条件におけるアルヴェン固有モードによる高エネルギー粒子輸送の比較を行う。・実験結果と数値シミュレーションとの比較を行う。
IAEA Fusion Energy Conferenceが延期になったため、次年度使用額が生じた。本件については、論文出版費に使用する。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Plasma and Fusion Research
巻: 16 ページ: 1102023
10.1585/pfr.16.1102023
Nuclear Fusion
巻: 60 ページ: 112011
10.1088/1741-4326/ab6da0
