研究課題
オーバーサイズコルゲート導波管伝送系で、不要反射波をフィルタする装置の開発を進めている。核融合研の大型ヘリカル装置(LHD)においては、初期プラズマの生成、加熱および制御のために、電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)を行っている。ジャイロトロンによって発生された周波数77GHzまたは154GHzのメガワット級のミリ波は、内径88.9mmのオーバーサイズのコルゲート導波管により約80m程度伝送され、LHD装置内へミラー系を用いて所望の位置に集光入射され、初期プラズマの生成、追加熱、およびプラズマの制御に使われている。その際に、プラズマや伝送系からの不要反射電磁波が、ジャイロトロンの管内でのアウトガスや発振停止などの悪影響を及ぼすことがある。そのためジャイロトロンへの反射波を低減させるための手立てが必要となる。本研究では、使用しているコルゲート導波管伝送系において、導波管ギャップを利用した不要反射電磁波フィルタ装置を設計、製作し、その性能評価を進めた。内径88.9mmのコルゲート導波管系で、有限の導波管ギャップで、電磁波のギャップ長に対する損失を計算した。ギャップ長が約300mmの場合には、伝送ミリ波が77GHzで約7%、154GHzでは約2.5%程度の損失で、対向した導波管にミリ波が結合されることがわかった。反射波については、この導波管ギャップによってランダムに放射されるため、対向するコルゲート導波管に戻る電磁波は少なく、周辺のテフロンチューブを流れる水に吸収されることになる。製作された不要反射波フィルター装置の内部構造は、不要電磁波を吸収するために冷却水を流したテフロンチューブコイルによる電磁波吸収構造を備えている。周波数154GHz帯用の反射波フィルタ装置の設計、構造、性能評価も行い、ジャイロトロンへの不要反射波によるモードジャンプやアウトガスの問題を緩和した。
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