研究課題
LHDにおいては,ボロメータと分光計測を用いた定量的な水素および不純物の放射パワーの決定手法を開発し,4th Asia Pacific Conference on Plasma Physicsにおいて招待講演を行った.電子密度と電子温度の分布から水素成分を決定し,そのうえでボロメータで計測した全放射パワーから炭素成分を決定,そしてネオンガス導入前後の炭素分光計測とボロメータ計測を用いてネオン成分を決定するという多段階法が有効であることを示した.Heliotron Jにおいては,高電子密度でのダイバータ熱負荷分布の拡がりやシフトが数値モデルで示され,論文投稿予定である.また,方向性静電プローブを利用したSOL領域の計測によって,トロイダルフローの方向が磁場配位により異なることをモデルと実験の双方で確認した.NAGDIS-IIにおいては,水素の非接触放電実験に向けた設備整備(故障機器の修理を含む)を前年度に引き続いて行い,実験に向けた準備が概ね整った.水素放電実験の代替として,ヘリウム放電のモデリングと計測手法の整備を進め,非接触プラズマ中の電子圧力の減衰長の評価,非接触プラズマ中の磁場を横切る輸送の時空間分解パラメータ計測などを行った.CRモデル開発に関しては,壁の中性粒子反射条件をTRIMコードの結果に即したものにするなど,EMC3-EIRENEコードの計算条件に近づける開発を行った.そして,LHDにおける水素原子・分子の発光スペクトル計算と分光スペクトル計測との比較検討を進めた.軽水素に加えて重水素に対するCRモデルの開発に着手した.また,とりわけ非接触プラズマを対象としたCRモデル研究では,EMC3-EIRENEのような流体プラズマモデルだけでなく運動論プラズマモデルも重要であるため,粒子(PIC)コードと粒子衝突モデルの開発を進めた.
3: やや遅れている
コロナ禍で海外との行き来ができない状況の下,国内の研究活動を優先的に行う計画調整を行ったため,Wisconsin大学のグループからの体積再結合反応を組み込んだEMC3-EIRENEコードの導入に遅れが生じた.次年度もWisconsinとの行き来は依然として難しいと思われるが,Zoom等のリモート会合を利用してコードの導入を行い,NAGDIS-II実験の開始に合わせて比較を行えるようにコードの整備を進める.NAGDIS-IIの非接触水素放電に必要な電源等の整備が機器故障により長期化していたが,これに関しては対応がほぼ完了して実験実施のめどがたった.
EMC3-EIRENEコードに関しては,体積再結合を含めた新コードの導入を優先的に行うとともに,従来のコードを用いたNAGDIS-IIの計算を平行して進め,新コードによる解析へとつなげる.また,既存装置だけでなく核融合科学研究所で進んでいるステラレータのダイバータ配位設計研究を同コードを用いて進める.Heliotron Jにおいては,今年度の成果についての論文投稿を行うとともに,その継続課題としてダイバータ領域にプローブアレイを導入し,プラズマ分布について計算の検証を進める.また,周辺に磁気島のある配位で磁気島領域のプラズマ測定を行い,モデルとの比較を進める.CRモデル開発については,LHDおよび信州大学のRF装置での検証,重水素モデルの整備,EMC3-EIRENEコードの相互結合などを進める.
Wisconsin大学への訪問が行えず,また国際会議や各種研究会がリモート開催になったため,旅費が不要となった.次年度は繰越金を含めて,数値計算用ワークステーションの購入を検討している.
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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