研究課題
前年度に行ったNAGDIS-II装置(名古屋大学)の重水素非接触プラズマ研究を発展させるため,期間を一年延長して重水素非接触プラズマの数値モデリング研究を実施した.プラズマ中でイオンが電子を捕獲して中性原子に戻る体積再結合過程が組み込まれたEMC3-EIRENEコード(Wisconsin大学およびマックスプランクプラズマ物理研究所開発)を用い,同装置の三次元数値輸送計算を行った.イオンが直接電子を捕獲するEIR過程と分子が介在するMAR過程それぞれの反応量の空間分布を調べ,電子温度が2eV程度と比較的高い上流部でMARが,1eVを下回るターゲット前面でEIRが多いこと,そして比較的高密度なプラズマでは主にEIRによってイオン粒子束が低減され,非接触領域が形成されることを示した.実験に類似するガス制御を行い,高ガス圧ほど非接触遷移領域が上流に移動し,非接触領域が広がる結果が得られ,実験を定性的に再現することに成功した.また,学生教育を含めた共同研究を広く行い,Heliotron J装置(京都大学)のダイバータプラズマにおける磁力線構造と不純物輸送の研究,CFQS装置(西南交通大学・核融合研)における熱負荷分布制御を目指したダイバータ板形状の設計手法研究を実施した.本課題の研究期間全体を通して,ダイバータプラズマの輸送や基礎過程に関する実験および数値モデリング研究を進め,直線装置における安定した重水素放電実験と数値モデリング研究,Heliotron J装置や大型ヘリカル装置における計測と数値モデリングの連携,水素分子の回転振動励起状態を区別した輸送モデルの開発,JT-60SA装置(量研)のRMP三次元ダイバータプラズマ計算など,多岐にわたる研究の進展に貢献するとともに,重要課題である非接触重水素プラズマの三次元数値輸送計算を実現し,中心となる研究目標を十分に達成したと考える.
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件)
Nuclear Fusion
巻: 64 ページ: 026009~026009
10.1088/1741-4326/ad1533
巻: 64 ページ: 034002~034002
10.1088/1741-4326/ad249f
Contributions to Plasma Physics
巻: - ページ: in press
10.1002/ctpp.202300145
Scientific Reports
巻: 14 ページ: 9329
10.1038/s41598-024-59182-5
Plasma
巻: 6 ページ: 308~321
10.3390/plasma6020021
巻: 63 ページ: 066036~066036
10.1088/1741-4326/accfad
Nuclear Materials and Energy
巻: 34 ページ: 101390~101390
10.1016/j.nme.2023.101390
Plasma and Fusion Research
巻: 18 ページ: 2402021~2402021
10.1585/PFR.18.2402021
巻: 63 ページ: 076001~076001
10.1088/1741-4326/acd465
Physica Scripta
巻: 98 ページ: 115605~115605
10.1088/1402-4896/acfeb4