研究課題/領域番号 |
19K03808
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 学 九州大学, 工学研究院, 助教 (10707152)
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研究分担者 |
渡辺 隆行 九州大学, 工学研究院, 教授 (40191770)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熱プラズマ / アーク放電 / ダイオード整流 / 長尺プラズマ / 表面処理 / 大面積処理 / 高速処理 / 高速度カメラ |
研究実績の概要 |
ダイオード整流を用いた多電極交流アークを発生させることで,革新的な長尺熱プラズマ場を構築することを目的とした.熱プラズマは,高温,高エンタルピー,高化学活性などの特長を有することから,様々な材料プロセッシングへの応用が期待されている。しかし,従来の熱プラズマ発生手法は,数mmから数cm程度の小さな領域にしか発生できない点熱源(ゼロ次元)である点が問題であった。そこで本研究では,以下の3つのサブテーマに基づき,数百Aの大電流をミリ秒オーダーでダイオード整流することで,新規な交流アーク発生手法を確立した。 サブテーマI(構築):4本の電極からなる構成を1区画とし,それらを連続的に配置することで長尺の熱プラズマの安定発生を試みた。ダイオード整流回路を用いて発生させる陰極(DC cathode, DCC)および陽極(DC Anode, DCA)を,交流電極(AC)と組み合わせて,DCC,AC,DCA,ACの順番で配置することで,持続的に発生可能な交流アークを発生させる手法を確立した。これにより,同区画を複数組み合わせることで,原理的に無限に延長可能な長尺アーク発生システムを構築することができた。 サブテーマII(計測):高速度カメラを用いた熱プラズマ可視化システムにより,熱プラズマ流およびアーク放電挙動を可視化した。また,放電電圧計測等の各種計測により,熱プラズマの安定性の評価もあわせて実施することで,均一な超長尺熱プラズマ流の安定発生条件を見出した。 サブテーマIII(応用):アルゴン-空気プラズマを用いたシリコン基板の表面処理も予備的な実験を実施した。すみやかな酸化処理が実施される一方,電極消耗に関しては検討の余地があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に,当初予定していた通りに研究が進行している。ダイオード整流回路の構築,それを用いた熱プラズマ流の構築等,当初想定したいた通りに順調に進展している。また,今後の研究に向けて,電極消耗現象が重要となりうることも明らかとなった。今後,計測に基づく基礎現象解明,酸化処理,窒化処理などの応用研究に関する検討を重点的に行っていく上での基礎的な知見が得られるとともに,基盤が構築できた。以上の状況を鑑み,おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,以下に示す3つのサブテーマ(構築,計測,応用)に基づき研究を進めていく。 サブテーマI構築)ダイオード整流交流アークを用いた長尺熱プラズマ場の構築:駆動周波数を変調させることで,平板熱プラズマ流の安定性向上を目指す。これは,令和元年度に実施した研究において,安定性向上の余地が見られたためである。 サブテーマII計測)長尺熱プラズマ流の計測を引き続き実施する。特に,温度場,ラジカル濃度場に加え,流れ場の可視化を行う。 サブテーマIII応用)表面酸化処理に加え,表面窒化処理の検討に進む。
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