研究課題
本研究は、プラズマ中の時空間的電場揺らぎが存在する中のナノ粒子の成長のメカニズムを解明する目的に研究を行っている。IoTデバイス創成における工程の70%以上はプラズマプロセスが占めている。そのプラズマプロセスにおける重要な技術は、ナノ粒子のサイズのコントロール技術である。申請者を含む研究グループは、プラズマに電場揺らぎを印加することで、通常の放電時と比べ、サイズ分散も、サイズも小さいナノ粒子を製成できることを見出した。しかし、この現象は、従来のプラズマプロセスにおける考え方を変えざるを得ない結果(放電電力とプラズマ密度の関係の矛盾等)が含んでおり、この電場揺らぎがなぜナノ粒子の成長を抑制するのかについては、明確なメカニズムは解明されていない。そこで、本研究において、AM変調放電において電極間の電場がAM周波数で振動することを、実験でも数値計算においても確認した。実験ではEOセンサー、数値計算ではPIC-MCCモデルを用いた。また、高速度カメラ2台を用いた同時計測により、プラズマ発光とナノ粒子の成長の時空間構造を明らかにした。プラズマ発光の増減と電場揺動とナノ粒子の位置揺動はAM周波数と一致しており、それぞれ非常に高い相関があることもわかった。また、数値計算によって、イオンエネルギー分布及びイオン角度分布もAM周波数で変化することも明らかにした。これらのイオンの振る舞いは、低圧において軸方向の電場強度の時間変化に強い相関があった。さらに、AM放電プラズマ中に浮遊するナノ粒子にかかる力を検討した。これらの結果から、電場揺動起因のナノ粒子の浮遊位置揺動により、ナノ粒子がシーストラップから離脱することがわかった。これが、時空間的電場振動中のナノ粒子成長の抑制に影響していることを明らかにした。さらに、少ない成膜データで、成膜における重要パラメータの予測を行える機械学習手法を開発した。
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