研究課題/領域番号 |
19K03829
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
森山 翔文 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80402452)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 弦理論 / チャーン・サイモンズ理論 / 双対性 / 双対カスケード / ゾーン多面体 / 平行多面体 / ワイル部屋 / アフィンワイル部屋 |
研究実績の概要 |
異なるゲージ群や物質場を持つ超対称ゲージ理論が物理的に等価になる場合があり、これを双対性という。また、一連の継続的な双対変換をまとめて双対カスケードという。超対称ゲージ理論は弦理論のブレーン系の有効理論として実現されるので、ブレーン配位にハナニー・ウィッテン変換を定義することによって、双対性をハナニー・ウィッテン変換として、双対カスケードをその継続的な変換として実現することができる。物理的な考察から、初期ブレーン配位によらずに、双対カスケードが必ず有限過程で終了し、終点が一意的であることが期待される。本研究では多面体理論を用いてこれを示した。 本研究では、双対カスケードが相対ランクのパラメータ空間の平行移動に書き換えられることに着目し、双対カスケードの基本領域を、これ以上カスケードしないパラメータ領域(多面体)と定義した。すると、期待される有限性は、パラメータ空間の任意点が平行移動を経て必ず基本領域に帰着する、つまり逆に言えば、基本領域が平行移動を通じて全パラメータ空間を隙間なく覆い尽すことに翻訳される。また、期待される一意性は、基本領域の点に一意的に帰着する、つまり逆に言えば、平行移動によって得られた基本領域の無限個のコピーが重複を持たないことに翻訳される。平行移動を通じて隙間も重複もなく空間充填する多面体は平行多面体と呼ばれ、その用語を用いれば、双対カスケードに期待される二性質は、基本領域が平行多面体をなすことを示すことで理解される。 そのため、本研究ではまず基本領域がゾーン多面体であることを示し、ゾーン多面体が平行多面体をなすための条件、つまり、ゾーン多面体の面心のランクが空間次元と一致することを示した。特に基本領域がゾーン多面体であることは非自明であり、それを示すために本研究では、基本領域に対してゾーン多面体を含む三つの異なる記述を導入し、それらの等価性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は大学統合初年度の物理学科専攻長に選出され、専攻長業務のため研究に十分に時間を使うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で専攻長の任期が終了するため、次年度は研究に専念する予定である。次年度は国内外の研究会に参加し、研究成果発表とともに、関連分野の研究者と議論することにより双対カスケードと平行多面体の関係をより一般的に拡張したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は大学統合初年度の物理学科専攻長に選出され、専攻長業務のため研究に十分に時間を使うことができなかった。本年度で専攻長の任期が終了するため、次年度は研究に専念する予定である。次年度は国内外の研究会に参加し、研究成果発表とともに、関連分野の研究者と議論することにより双対カスケードと平行多面体の関係をより一般的に拡張したい。
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