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2019 年度 実施状況報告書

暗黒物質アクシオンと高速電波バースト

研究課題

研究課題/領域番号 19K03832
研究機関二松學舍大學

研究代表者

岩崎 愛一  二松學舍大學, 国際政治経済学部, 教授 (90203356)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアクシオン / 中性子星 / ブラックホール / 膠着円盤 / 高速電波バースト
研究実績の概要

高速電波バーストに関して2019年までに得られたデータを、アクシオン星と中性子星、あるいはブラックホールの膠着円盤との衝突により発生するというモデルを用いて解析した。特に、反復する高速電波バーストに特徴的なスペクトルに注目した。それは、ブロードバンドでなく有限幅を持つこと、その幅の中心振動数が、500MHzから8GHzにまで及ぶこと。その有限幅の大きさは、中心振動数が大きくなるほど大きくなること。さらには、バーストの持続時間は、中心振動数が高くなるほど短くなること。
これらの特徴は、アクシオン星が、高速で回転する膠着円盤に衝突する際、ドップラー効果により発生することを明らかにした。一方、反復のない高速電波バーストは、アクシオン星と中性子星との衝突と考えられ、そこでは、電波バーストのスペクトルにこのようなドップラー効果はなく、それゆえ、様々な周波数での観測はない。主に、1.5GHzを中心とした観測のみである。中性子星の磁場は、膠着円盤のそれより強いと予想されるが、それを裏付けるように、反復のない高速電波バーストは、反復のあるバーストに比べ、1桁以上その放出エネルギー大きい。磁場の強さが、高速電波バーストの強さを決める。また、磁場の強いことは、そのスペクトルの周波数幅をより広いものにする。それゆえ、中性子星との衝突で発生すると考えられる反復のない高速電波バーストの周波数幅は、反復のある電波バーストに比べ十分広く、観測可能な周波数幅を超えていて、その有限幅は今だ観測されていない。
これらの結果は、
Progress of Theoretical Experimental Physics Vol.2020, 1, 2020
に記載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年末から今年にかけて、高速電波バーストの新たな観測データが得られた。これらのデータと現在、アクシオン星モデルを用いて解析中である。ただ、このモデルでは理解が難しい観測データも得られていて、さらなる観測とモデル計算が必要である。

今後の研究の推進方策

暗黒物質であるアクシオンは、アクシオン星という凝縮した形態のみならず、一般に銀河に広がった分布をしていると考えられている。そのアクシオンはこの地球にも降り注いでいる。そのアクシオンの影響を地上で観測するプロジェクトは世界で進んでいる。これらのアクシオン観測プロジェクトに加えて、新たな方法で観測できないかを現在考案中である。それは、アクシオンが強磁場中で発生する電場の効果を、超電導体を用いて観測するものである。このアイデアは、まだ、萌芽的であるは、さらなる一歩を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で学会、研究会が2020年2月、3月に中止となったため。そのため、旅費が計画通りに使用されなかった。
今年度は、計算ソフト「マセマティカ」の購入。PCのセキュリティソフトの購入。およびプリンターの購入を計画している。旅費は、新型コロナの影響がなければ、計画通りに進む予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Explanation of detailed spectral properties of fast radio bursts by the axion star model2020

    • 著者名/発表者名
      Aiichi Iwazaki
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical and Experimantal Physics

      巻: 1 ページ: -

    • DOI

      10.1093/ptep/ptz142

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] モノポール回りに存在する局所カイラル凝縮とフェルミオンゼロモード2020

    • 著者名/発表者名
      岩崎愛一
    • 学会等名
      物理学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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