研究課題/領域番号 |
19K03850
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小嶌 康史 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 名誉教授 (10192577)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高エネルギー天体現象 / 中性子星 / ブラックホール / 磁場 / 電磁流体力学 |
研究実績の概要 |
磁場が強い中性子星(マグネター)では、異常な超過熱源と突発的なバースト現象がみられる。それらの原因はともに強磁場と考えられる。余分な熱源は磁場消失に伴うジュール熱である。また、磁場の時間進化により、星表面付近のクラスト(殻)部分に磁場のストレスが徐々に蓄積され、その歪みが固相の弾性限界を超えた時、突発的な構造変化が起きる。前年までに、その過程を具体的に理論計算により探ってきた。 もう一つの特異な中性子星の種属としてCCO(Central Compact Object)があり、その表面の双極子磁場強度は平均よりも2桁以上小さいものの、マグネターと同程度強い熱源がみられる。これを磁場消失に伴うジュール熱とすると、内部にマグネター級の強い磁場があることになる。磁場形状の差により、突発的な構造変化に至る時間尺度や限界の蓄積エネルギーがどのようになるかを調べた。CCOのモデルで考えられているように、クラスト内部に閉じ込める形状では限界に至る時間は長くなり、CCOではバースト現象は見られないことを示唆する結果を得た。この内容は公表論文として発表した。 また、クラスト(殻)部分の弾性力を考慮した、磁気中性子星の力学平衡をこの数年間に研究してきた。より一般的な状況として、クラスト内部のコア(芯)部分と中性子星表面でどの程度の磁場の変化が可能であるかを検討した。その変化が大きい場合、より大きな弾性力が必要になる。その結果、マグネター表面でみられる強度の1桁以上強い成分はより内部に存在する必要がわかった。観測されているマグネターの歳差運動から、内部には2桁程度強い成分が必要と考えられるが、その成分はクラスト部分には染み出ることなく内部に保持されている必要がある。この内容も公表論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んだ。公表論文や対面での学会や研究会で成果報告ができた。しかし、本計画が開始した当初に起きたコロナ禍による学会等参加中止による予算の繰り越しがあり、以降の進展に役立てる。
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今後の研究の推進方策 |
進展中の課題がいくつかあり、それを取りまとめる計画である。さらに、対面での学会や研究会での成果発表や有意義な議論の機会を利用して、さらなる研究の発展を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本計画が開始した当初に起きたコロナ禍による学会等参加中止による予算の繰り越しがある。これまでの成果発表の会合ための旅費にほぼ全額を次年度に使用し、研究計画を完結する。
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