| 研究課題/領域番号 |
19K03868
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| 研究機関 | 愛知教育大学 |
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研究代表者 |
阿武木 啓朗 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70378933)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 強い相互作用 / カイラル密度波 |
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| 研究実績の概要 |
中性子星の内部などの高密度極限状態で出現することが期待されている非一様カイラル結晶状態が強磁場下で示す輸送論的性質について研究を行った。電気や熱の輸送現象の理解は中性子星の進化の解明に重要である。Ginzburg-Landau理論と勾配展開法を用いた一般的な解析により、カイラル極限においては、少しでも磁場があると双対カイラル密度波と呼ばれる特殊な相（DCDW相）が中間密度領域に実現することが示されている。DCDW相では時間反転対称性が破れており、並進対称性はカイラル対称性と混合し、修正された形で残る。運動量空間におけるトポロジカルな構造はWeyl半金属のそれと類似しており、これが異常ホール伝導に寄与することが分かっている。QCDの低エネルギー有効模型であるNJL模型を用いた解析によりまずこれを確認した。次に、磁場のある環境における電気伝導を明らかにするために、久保公式に立脚したStreda公式による評価を行った。ホール伝導は古典的な寄与と量子論的な寄与に分解できる。古典的な寄与はフェルミ面がエネルギーギャップの間に存在する絶縁体ではゼロになり、フェルミ面が連続状態の中にあり伝導体である場合には古典的なDrude-Zener関係式を与える。一方、量子的論的な寄与は散逸がなくとも存在することから非散逸項と呼ばれ、古典的類似物はない。我々はこの量子的論的な寄与をさらに真空からの寄与と物質による寄与に分解し、後者に対して、密度、温度といった環境変数への依存性について解析を行い、中性子星の熱的進化に与える影響について検討を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以前に研究を行った一般化されたGinzburg-Landauフレームワークによる自由エネルギーの勾配展開の展開係数の評価について疑いが生じたため、他のグループによって提唱された改良Ginzburg-Landau勾配展開技法を用いてクロスチェックを行い、正当性を再度確認した。これは、本研究目的とは直接関係のない部分であった。また、コロナ禍で、意見交換のための研究会への参加を見送ったり、共同研究者との打ち合わせの機会も減ったこと、加えて大学授業のオンライン対応、ハイブリッド対応に相当な時間を取られ、外部評価委員等の学外業務も重なったため、本来の研究の遂行は遅れている。
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| 今後の研究の推進方策 |
双対カイラル密度波（DCDW状態）の電気的、熱的輸送について引き続き研究を進めるとともに、ソリトン的密度波などの他の非一様状態についても研究を進め、カイラル結晶状態の輸送論的性質について包括的な理解を目指す。加えて、本研究の当初の目的でもあるカイラル結晶状態の応力変化に対する応答、すなわち動的粘弾性について解析を行い、結果をまとめる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究会がオンラインで開催されたり、共同研究者との打ち合わせがほとんどオンラインであったため、交通費、宿泊費の支出がほとんどなかったため未使用額が発生した。対面とオンラインのハイブリッド型の研究会も増えてきており、今年度についてはオンサイトの研究会に参加できると考えている。
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