本研究の目的は、高密度QCDにおいて実現が予想されているカイラル結晶状態の物性を明らかにするとともに、その中性子星の物理への帰結を探ることである。特にカイラル結晶の粘弾性体としての性質を明らかにすることと、特異な輸送性質を明らかにすることが目標である。いくつかの技術的困難があり、当初予定していた粘弾性についての解明には至らなかった。一方で、カイラル結晶状態の輸送問題については一定の成果を得ることができた。双対カイラル密度波(DCDW)と呼ばれる特殊なカイラル結晶が示すホール伝導についてその数理的構造を解明するとともに、中性子星の熱的進化への影響について考察した。
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