研究課題/領域番号 |
19K03882
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 客員教授 (60150265)
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研究分担者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
湯口 貴史 山形大学, 理学部, 教授 (00516859)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 宇宙線 / 高エネルギーミューオン / 宇宙線生成核種 / 花崗岩 |
研究実績の概要 |
約7千万年前に形成され、隆起・沈降後1千万年前に現在の状態に安定した土岐花崗岩は、1千万年の間、地球に入射してくる銀河宇宙線が大気中で生成した高エネルギーミュー中間子の照射を受けて生成された宇宙線生成核種Be-10、Al-26を蓄積している。その宇宙線生成核種の測定は過去1千万年にわたる宇宙線強度変動を直接的に観測する重要な手段である。今年度は以下の研究を行った。 1)深度約100mの土岐花崗岩試料から抽出した石英中Be-10濃度のAMS測定分析データの解析を行った。Be-10濃度は、preliminary 値であるが(2.0±0.1)x10^3 atoms/g_quartzであり深度50mの土岐花崗岩から抽出した石英中濃度の約48%であった。50m以上の深度での公表データは南半球ニュージーランドのMacraes 金鉱の試料のみである。土岐花崗岩の深度20m,50m,100mにおけるBe-10濃度は、深度に対して冪関数で減衰しており、その指数は(-1.12±0.02)で近似できる。Macraes 金鉱では指数(-1.26±0.09)であり誤差の範囲で同様であった。 2) 過去の宇宙線強度変動を調べるために高エネルギー宇宙線ミューオンが花崗岩石英中に生成するBe-10濃度の深度分布をシミュレーションすることは重要である。そのため160GeVミューオンビームが土岐花崗岩中に生成するBe-10濃度プロファイルの計算をPHITSシミュレータにより行った。160GeVミューオンビーム実験データプロファイルとの比較からシミュレーションが可能であることが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Be-10については200m深度の測定試料作成の準備を行っている。Al-26については深度50m、100m のAMS測定分析待ちである。covid-19の影響もあり測定分析が遅れている。また、花崗岩コア試料の採取および極微弱放射能測定設備による測定が一部遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に予定した未測定試料のAMS測定と深度別土岐花崗岩コアの微弱放射能測定を進める。これまでの測定データを含めた測定結果の解析とシミュレーション計算を進めて生成核種の深度別プロファイルおよびバックグランドの推定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた測定試料の作成は、ほぼ終了している。分析マシンの不調等により測定が予定より遅れている。また、covid-19の影響により花崗岩コア試料の採取と放射能測定設備によるの測定計画が遅れている。これらの試料採取および測定分析のための旅費および分析費等に次年度使用する計画である。
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