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2019 年度 実施状況報告書

重力波イベント電磁波対応天体の早期観測を目指した全天X線モニタ用光学系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K03890
研究機関青山学院大学

研究代表者

杉田 聡司  青山学院大学, 理工学部, 助教 (30573563)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード重力波イベント電磁波対応天体 / 全天モニタ / X線光学
研究実績の概要

本研究は「平板X線反射鏡の開発工程の確立」、「科学的要求を達成する性能の光学系の設計」の 2 点の達成を目標とする。 2020 年度の当初の目的である X 線反射鏡製作に関しては、ガラスによるX線反射面の製作と反射率測定、フォイルレプリカ法による X 線反射鏡の製作及びX線ビームラインによるX線反射像の取得を実現した。当初は反射鏡製作用のクリーン環境を青山学院大学に整備する予定であったが、宇宙科学研究所の共同利用実験施設を使用することができたので、そちらを利用し反射鏡の製作を進めた。
平滑なフロートガラス上に DC マグネトロンスパッタ装置で 100 nm 厚程度のタングステンを成膜し、X線反射面を製作した。宇宙科学研究所のX線ビームラインを用いて角度反射率を測定し、測定データをX線反射率の nevot-croce モデルとモデルフィッティングすることで、表面粗さ 1 nm 以下の反射面を実現できている結果が得られた。低エネルギーX線に用いる反射面であれば十分な平滑面が達成できた。
厚さ 130 mm のアルミ平板にフォイルレプリカ法を用いてタングステン鏡面を転写し、薄板X線反射鏡を製作した。光学シミュレーションによって、二回反射によるX線集光となる反射鏡配置を検討し、反射鏡を収めるテスト筐体を製作した。X線反射鏡を組み込んだテスト筐体に対して、宇宙科学研究所のX線ビームラインでX線ビーム試験を行った。筐体にX線平行光を入射させ反射像を取得した結果、設計値通りの位置に集光させることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では大学研究室にX線反射鏡製作用のクリーンブースを設置する予定であったが、宇宙科学研究所との共同研究により宇宙科学研究所の製作装置を使用できる様になったため、反射鏡製作を前倒しで行うことができた。

今後の研究の推進方策

来年度以降は反射鏡の高精度化として、薄板ガラスに直接金属蒸着を行なって反射鏡を製作することも検討する。薄板ガラスの反射鏡は NuStar 衛星に搭載されたX線望遠鏡で実現されているが、ガラスを曲面形状にする熱成形用の金型が高価であり、日本では未だ採用されていなかった。本研究は平板の反射鏡であるため熱成形の必要が無く、市販のフロートガラスをベースに製作することができる。さらに近年急速に開発が進んでいる液晶用超薄板ガラスでの反射鏡製作を検討しており、実用可能であれば形状自由度が高い反射鏡を製作することができる。 高精度なX線反射鏡を集光系として配置するためのハウジングを製作する。テストモデルとしては検出器 1 枚分をカバーする反射鏡を詰めたハウジングを製作し、宇宙科学研究所の X 線ビームラインによってテストモデルの性能評価を行う。
光学系の設計に関しては、本年度に Geant4 による光学シミュレーション (レイトレーシング) の環境を構築し、シミュレーションした反射鏡の配置での実際のX線反射像を取得することに成功した。来年度以降はその結果を基に実際のテストモデルのハウジングを製作する。次に光学系に加えて検出器のシミュレーションを行い、検出器のピクセル上の X 線分布 (集光イメージ) を作成し位置決定精度を評価する。X線 測定の結果と比較することでシミュレーションの妥当性を評価し、実験結果を取り込んだシミュレーションによって要求される性能を達成するための光学系を設計する。

次年度使用額が生じた理由

当初は反射鏡製作用のクリーン環境を青山学院大学に整備する予定であったが、宇宙科学研究所の共同利用実験施設を使用することができたため、開発初期の今年度の研究では主に消耗品の購入のみとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 全天X線モニタ用光学系の開発2019

    • 著者名/発表者名
      杉田聡司
    • 学会等名
      日本天文学会2019年秋季年会
  • [学会発表] Development of X-Ray Optical System for All-Sky Monitor2019

    • 著者名/発表者名
      小笠原健也
    • 学会等名
      Gamma-ray Bursts in the Gravitational Wave Era 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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