本研究は「平板X線反射鏡の開発工程の確立」、「科学的要求を達成する性能の光学系の設計」の 2 点の達成を目標とする。 研究期間を通して、レプリカ法とシリコンウエハを用いた二つの方法でX線反射鏡を製作し、Geant 4 を用いた光学シミュレーションによって設計したデザインのテスト筐体に組み込みX線測定を行った。 平滑なフロートガラス上に DC マグネトロンスパッタ装置で 100 nm 厚程度のタングステンを成膜し、X線反射面を製作した。厚さ 200 mm のアルミ平板にフォイルレプリカ法を用いてタングステン鏡面を転写し、薄板X線反射鏡を製作した。このレプリカ法の工程にスピンコーターを導入しX線反射鏡の表面の平滑性を数 μm に抑えることに成功した。 またレプリカ法による製作の他にシリコンウエハを応用したシリコン基板によるX線反射鏡の開発を行った。シリコンウエハは厚さ ~100mm のシリコン結晶を ~nm の粗さまで平滑に研磨したものなので、低エネルギーのX線を反射することができる。シリコンウエハをダイシングカットすることでX線反射鏡として成形した。それぞれのX線反射率を測定した結果、1~10 nm の反射率モデルの値と一致し設計値通りの反射率を持ったX線反射鏡の製作に成功した。 光学系の設計に関して、Geant 4 を用いた光学シミュレーション環境を構築し、二回反射によって 1500 mm の焦点距離で集光するシミュレーションを行なった。その結果をもとにした設計によるテスト筐体を製作した。 レプリカ反射鏡とシリコン反射鏡をテスト筐体に組み込み、宇宙科学研究所の 30 m X線ビームラインでX線撮像実験を行い、X線集光像を取得することに成功した。
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