研究課題/領域番号 |
19K03898
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 進 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (70302346)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハドロン / 粒子識別 / 飛行時間測定器 |
研究実績の概要 |
1回目のJ-PARCにおけるビーム試験を行い、現場でのノイズ環境の低減をはかった。加速器の新設ビームラインのビーム調整と並行して行われた、MRPC型飛行時間測定器の試験であったため、検出器へのアクセスが限られた環境での運用であったが、ノイズ源の逐一の選別を進めながら運用を行った。具体的には、飛行時間測定器の信号増幅用高電圧昇圧器と大口径電磁石の磁場との干渉を減らす運用をしたり、飛跡検出器群と粒子識別用測定器群とでグランドラインを独立させることによりノイズ干渉が無いトリガーシステムを駆動させる運用を行った。また、改良型のMRPC型2号機を導入し、プリアンプ、ディスクリミネータ等をコンパクトにして機器操作性を向上させた。また、低電圧電源を遠隔操作できるように改善し、ノイズ低減を行う為の操作性を向上させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K中間子崩壊モード測定に必須である粒子識別装置の時間分解能向上のためにまず必要な、ビーム使用環境下での運用を通じた基礎パラメータの取得ができた。それらの運用パラメータを通して、電源等の機材の配置の最適化(最短化)、使用信号線の改善、設置架台作業性の改良設計、検出器自体の予備部材等を用いた改良型試作機運用、を進めることが出来たことにより、K中間子崩壊モード測定につながる状況を構築しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
K中間子の崩壊モードの高統計な測定には、粒子識別装置の長期安定的な運用を進めて行く必要があるため、(加速器機器の不具合対応のため延期となってはいるが、)再開予定のビーム試験の遂行を通じて、さらなるノイズ低減や機器運用パラメータの探索を進めながら、陽子原子核衝突事象のデータ取得を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
R2年度にはデータ収集に必要な制御用の機材などを購入したが、R3年度には(R2年度からR3年度に延期された)ビーム試験におけるノイズ低減資材や検出器運用の為の消耗品などを調達をする必要がある為、それらの物品をR3年度には購入する計画である。
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