研究課題/領域番号 |
19K03906
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
花輪 知幸 千葉大学, 先進科学センター, 特任教授 (50172953)
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研究分担者 |
松本 洋介 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (20397475)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 星形成 / 流体力学 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
初年度に確立した、密度・圧力・速度が全て一様な流れを円筒座標で打ち切り誤差なしに数値シミュレーションする手法を、一様な磁場がある場合に拡張した。磁場の時間変化を記述する誘導方程式だけでなく、数値的に発生する磁気単極子を取り除く放物型消去法にも、数値セルの中心と表面で方位角が異なることを陽に取り入れるのがこの手法の要諦である。この方法が有効であることは、磁気衝撃波管問題により確認した。またデカルト座標を用いた数値シミュレーションにより、磁化したガスの塊が落下し円盤に衝突する場合を調べた。ガス塊が円盤の厚みより大きい場合、円盤と衝突した部分だけが減速され、磁力線がU字に折れ曲がる。曲げられた磁場は円盤との衝突で一時的に減速された部分を加速し、放出する。磁場が降着するガスを減速する効果はよく知られているが、加速し放出する機構を指摘したのは初めてである。この結果は査読付き学術雑誌で発表した。さらに降着するガスがの一部が細長く延びた構造を示す原始星DG Tauについて、流体力学モデルを構築し、ALMA望遠鏡による分子輝線観測との比較について国際共同研究を行なった。暖かく希薄なガスの中を低温度で濃い分子ガスの塊が落下すると、潮汐力によりガス塊が細く延びる。この流体モデルは、分子輝線から求めた形状や運動速度を定性的に再現する。潮汐力が働くのは落下するガスが周囲に対して高い密度比を持つとともに、初期落下速度が遅く抗力が小さい必要があることも見出した。この結果は国際学術誌に投稿査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値シミュレーション技法の開発、非対称なガス降着を示す原始星のモデル作成および対比は進んでいるが、まだその成果発表が完了していない。また数値シミュレーションコードの公開も完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
DG Tau のモデルについて投稿した論文を審査員の意見に従って改訂し、出版する。また国際研究集会などで発表を行う。さらに本研究の発展として得られた自己重力を4次精度で数値シミュレーションに取り込む手法について研究と公表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症により研究活動に遅れが生じた。特に旅費が必要な対面型の国際研究集会が多くキャンセルされた。令和5年度には研究費を国際研究集会などへの参加旅費や、学術雑誌の論文掲載料として使用し、成果の公表に努める。
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