研究課題
本研究は、星間空間および星周空間に存在する宇宙ダストを研究対象とし、それらの宇宙環境での生成/変成/破壊過程を含めた一生を探ると同時に、ダストの赤外線特性を理解し遠方の銀河の星間物理環境を診断する手法を構築する事を目標に、観測及び実験の両アプローチを組み合わせて遂行した。本研究では、宇宙ダストのうち特に有機物を含むダストの性質に焦点をあて、それらの赤外放射の性質の理解を目標とする研究を行なった。特に実験的手法を通じて、新星の周囲で観測される塵の赤外線放射の性質を再現する窒素含有炭素質物質の合成に至り、その性質の詳細な分析から窒素をアミンの形態で含有する有機物の塵であるとの結論を得た(記者発表『新星爆発で生まれる有機物の塵の合成に成功』2021年8月26日:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2021/7522/)。また、急冷炭素質物質の性質と始原的な太陽系の有機物と考えられ炭素質隕石物質中に含まれる不溶性有機物等との関連を探るため、国際宇宙ステーションきぼう実験棟簡易曝露実験装置ExHAMを用いて、実験生成有機物の宇宙曝露実験を行い、その回収試料の分析のための測定環境の整備を行うとともに、赤外およびX線による分析を実施した。さらに、本研究によって得られた星間有機物に対する知見を踏まえて、NASAが主導し検討を行なっているOrigins Space Telescopeの科学技術検討活動や次世代のスペース遠赤外線ミッションの検討活動につなげた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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https://www.youtube.com/watch?v=0l7J8vFHraM