研究課題/領域番号 |
19K03912
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分子雲形成 / L帯 / SS433 / 臼田64鏡 |
研究実績の概要 |
2台目の極低温冷却信号増幅器を購入し、両偏波観測ができる体制を整えた。自作した極低温冷却信号増幅器のバイアスボックスにおいて、信号増幅器の電流・電圧を2台同時に制御できることを確認し、臼田64m鏡に搭載した。信号増幅器が常温の状態で性能測定を行い、OHの観測周波数である1600MHzから1750MHzにおいて、旧来の受信機システムの信号増幅器を冷却した状態での性能を15K-20K程度上回る結果を得た。また、信号増幅器が常温の状態で天体観測を実施し、旧来の受信機システムでの観測と同様にOHの4輝線(1612MHz、1665MHz、1667MHz、1720MHz)の左右両円偏波の計8つの吸収線の受信に成功した。同じ積分時間でノイズレベルも改善され、新受信機の冷却時の観測に向けて、期待の持てる結果となった。 2019年度に観測したSS433方向の分子雲N4のOH輝線観測の結果を論文にまとめ、Publications of the Astronomical Society of Japanに投稿・受理され、出版された。この論文では野辺山45m鏡、JCMT15m鏡によるCO輝線観測の結果と併せて、解析を実施した。OH輝線に関しては輝線を検出できなかったが、メーザー放射の放出要件から分子雲の物理量に制限を与えるなど、分子雲の物理状態を克明に明らかにした。 SS433の結果と臼田64m鏡のL帯の整備状況を宇宙電波懇談会シンポジウム等複数の研究会等で報告・議論し、参考になる意見を得た。これを計画にフィードバックする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、臼田64m鏡の運用が最低限の人数で実施されたため、十分な観測時間を確保できなかった。また、出張自体も時期を見る必要があったため、観測所での作業時間の確保も困難であった。一方で、ソフトウェア開発などの出張を伴わない作業については予定どおりに開発が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
受信機の冷却化に向けた作業を実施し、受信機システムをさらに高感度化する。このシステムにて観測を実施し、データの解析を行う。また、これまでに取得済みのデータの解析を引き続き実施し、成果創出に向けた作業を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による本事業の遅れにより、事業を完了できなかったため。 生じた次年度使用額は臼田宇宙空間観測所への旅費、及び消耗品の購入に使用する。
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