研究課題
最終年度には、両直線偏波用平面アンテナ、ハイパスフィルタを介して接続したMKID共振器など新しい構成要素の試作準備を進めた。平面アンテナについては、第二偏波用の構造に特化した電磁界シミュレーションを行った。第二偏波用の給電点には2本のコプレーナ線路から来る信号を足し合わせる合波器を置くが、この部分にラットレイス型の180度ハイブリッド結合器を逆位相合波器として用いることで必要な特性が得られることがわかった。このシミュレーションによってアンテナと給電点を含むリング構造の調整を行い、シリコンレンズに結合させるのに十分な放射特性が得られた。デバイス製作では、先端技術センターに導入されたレーザー描画装置を用いてマスクレスの描画が可能となったので、その加工精度に合わせ、デバイス設計を調整した。偏波特性測定用に開発した回転ステージを用いた偏波源に対する応答を野辺山MKIDカメラで確認することができた。また、試作したデバイスの冷却試験に用いるクライオスタットについて冷凍機のメンテナンスを実施した。偏波計開発に併行して、MKID読み出しに関する技術開発を行なった。また、本研究の動機となったアンテナ能率の最適化についても理論的研究を進めた。研究期間全体を通じて、相関型偏波計の必要な構成要素の全てについて個別の検討を行うことができ、相関型偏波計のピクセルの基本設計が完成した。逆位相合波器をおいた両直線偏波用平面アンテナ、相関型偏波計のための遅延回路、遅延回路とMKID共振器を繋ぐハイパスフィルタなどの新しい構成要素について、いずれも電磁界シミュレーションで必要な特性が得られている。得られた設計について、国際会議・査読論文にて発表した。偏波計の試作まで進めることは叶わなかったが、設計へのフィードバックが望まれる構成要素は明らかになり、これらの試作を始めようとしている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
URSI Radio Science Letters
巻: 4 ページ: -
10.46620/22-0044
Journal of Low Temperature Physics
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