研究実績の概要 |
太陽のおよそ10倍以上の質量を持つ星は、寿命を迎える際に超新星爆発を起こす。近年の大規模探査により、通常の超新星の10~100倍も明るい超高光度超新星が発見された。しかし、超高光度超新星がどのような環境で発生するのか未だ解明されていない。本研究では、新たな観測手法として塵による吸収を受けない電波を用いることにより、母銀河の系統的な観測及び空間分解した観測を行い、超高光度超新星の発生環境を理解する。今年度は、以下の成果が得られた。
i) 既存の観測では検出できない塵に隠された星形成の有無を系統的に探査するため、VLA電波干渉計を用いて23の超高光度超新星およびその母銀河の3 GHz帯観測を行った。これまでに取得されたデータと合わせることで、世界最大のサンプルを構築した。母銀河における星形成活動、超高光度超新星の電波放射の年スケールでの時間変動、および理論モデルに制限を与えた (Hatsukade, B., et al., 2021, ApJ, 922, 17)。
ii) VLA電波干渉計を用いて、最も近傍のI型超高光度超新星の母銀河における中性水素原子ガスの観測を行った。目的は、既に取得している分子ガスデータと合わせて低温ガスの全体像を理解すること、および隣接する銀河との相互作用の有無を調べ超高光度超新星の母天体の生成要因を探ることである。2021年度は予定していた観測の一部が実行された。2022年にも観測が行われる予定である。
|