令和5年度は,「銀河円盤の3次元磁気流体シミュレーション」と「恒星多体系による渦状腕形成・進化のテスト計算」をおこなった。以下にその内容を述べる。 「銀河円盤の3次元磁気流体シミュレーション」様々な初期縦磁場強度における銀河円盤シミュレーションを準定常状態に到達するまでおこなった。初期磁場強度がμGに匹敵するほど強い場合,銀河円盤のガスのスケールハイトが増幅された磁場により大きくなり,観測値と不整合となることがわかった。これは銀河円盤の初期縦磁場強度が非常に小さかったことを意味する。令和5年度は,さらに,より現実的な超新星爆発によるフィードバックを取り入れるために,超新星爆発を起こす前の大質量星の運動を追跡するための試験粒子を新たに実装した。 「恒星多体系による渦状腕形成・進化のテスト計算」Athena++においてParticle-Mesh(PM)法を用いた粒子多体系コードの開発をおこなった。解像度の異なる格子を多段に配置した場合,異なる解像度の格子の境界近傍において,恒星粒子に自己力が働くという問題があった。粒子質量を格子に分配する手法の改良およびPM法のレベル境界の精度の向上をおこなった。その結果自己力の大きさを約10分の1にすることに成功した。下の図は,銀河円盤の恒星多体系テスト計算のスナップショット(恒星面密度の初期値からの差)であり,ツリー法と整合的な結果が得られている。上記の銀河円盤の3次元磁気流体シミュレーションに組み込む準備が整った。
|