研究課題
太陽物理学における未解決問題「コロナ加熱問題」の解明にとって、現在最も渇望されている観測量は、光球とコロナとの薄い境界層“彩層・遷移層”での磁場情報であり、その状況を紫外線偏光観測で打破しようというのが本研究である。本研究では、日米欧太陽観測ロケット実験Chromospheric LAyer Spectro-Polarimeter(通称CLASP2)で得る電離マグネシウム線(280nm)での偏光分光観測データと中性水素のライマンα線(122nm)での撮像観測データを、偏光・分光・撮像のあらゆる面で解析し、彩層・遷移層の大気構造と磁場構造の定量的な導出の確立を目指している。また併せて、飛翔後に回収された観測装置の機能性能検証も行うことで、今後目指すべき紫外線偏光分光の本格観測の礎を科学的・技術的に構築することを目指している。2019年4月に成功したCLASP2実験とその科学成果は、観測ロケット実験の実施母体であるNASAにおいても高く評価された。そのため、回収した観測装置そのままながら、新たにスリットスキャンを行う再飛翔実験を行うこととした。COVID-19感染症の拡大により、当初予定していた2020年中には実施できなかったものの、改めて再飛翔実験計画を採択してもらい、十分な感染症対策の末、2021年10月8日に再飛翔を成功させた。太陽面で磁場が卓越した活動領域の2次元面内において、電離マグネシウム線(280nm)などの複数のスペクトル線の偏光分光情報を取得した。複数スペクトル線の解析による縦断面情報と2次元観測とにより、光球・彩層・遷移層を貫く磁束管の3次元構造を取得することできる。
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