研究実績の概要 |
本計画は人類がなしえていないブラックホールの存在の観測的実証となるブラックホールシャドウの直接撮像を目指すため、成層圏に気球を用いて電波望遠鏡を打ち上げて成層圏電波干渉計を実現するために、世界で初めての成層圏気球VLBI技術実証観測を行うことであった。フライトモデルは2016年に完成し、2016,17,18年度とJAXA大樹航空宇宙実験場でのフライトに臨んだ。しかしながら放球可能な気象条件が得られず放球機会が得られなかった。 本科研費により2019,20,21年度のフライト運用に臨んだ。本ミッションの提案は毎年度JAXAの大気球委員会によって審査され採択された。 2019年度の放球は国際的なヘリウム供給不足問題が発生し、JAXAが採択されたミッションのほとんどをキャンセルし、放球機会が得られなかった。気球VLBIミッションチームは放球実験場で保管されていたフライトモデルの健全性の確認のためにVLBI観測機能までの機能を確認し、再度放球実験場で保管した。 2020年度の放球はヘリウム問題が解決し、通常の放球に臨んだ。ゴンドラを立ち上げフライトレディを確認し3か月の放球待機したが、気象条件が合わず放球に至らなかった。 2021年度も放球に臨んだ。自動運用ソフトウェアの改善などを踏まえてフライト時間を大幅に短縮し、気象条件を緩和して放球に臨んだ。しかしながら気象条件のためフライトに至らなかった。 科研費の期間内にフライトの実行はかなわなかったが、それらはすべて気象条件に起因する。本研究期間においてフライトモデルの完成と、フライト前シーケンスを踏めたことで世界で初めて実施する成層圏気球VLBIミッションの実現に限りなく近づくことができたと考えられる。
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