研究課題
本研究では、超高層への水・物質輸送過程を明らかにすべく、特に大気波動を介した領域間結合に着目して、探査機と地上望遠鏡による観測を実施し、以下を達成した。(1)エアロゾル多重散乱高速放射計算コードJACOSPAR火星版の開発を進めた結果、疑似データを用いた検証が無事に終わり、火星大気中のダスト・氷雲の密度および粒径の導出に世界で初めて正解した。計算時間も先行研究に比べ格段に短縮された。MEX/OMEGAによって得られた観測データを用いた実検証に移行し、これまでの成果を学術論文にまとめている。(2)MAVEN/IUVSおよびTGO/NOMADを用いた火星中層大気の掩蔽観測データを用いて、水蒸気の鉛直輸送過程を明らかにし、南北半球で水蒸気分布が大きく異なること、また惑星規模のハドレー循環が水蒸気を高高度に輸送している様子を明らかにした。また、夜側にモデル予測値よりも100Kも温度の高い異常昇温層を発見した他、擾乱成分のスペクトル解析から波長の比較的長い大気重力波成分が上方伝搬し超高層大気に大きく影響を及ぼす様子を初めて明らかにした。地上観測によりダストストーム中では中層大気で高速の東西風が加速される様子を捉え、大気重力波や水蒸気の伝搬過程に背景風の変化が影響を及ぼすことがわかった。(3)MAVEN/NGIMSを用いてより高高度の大気組成変化を調べた結果、下層大気の季節変化やダストストームに伴う変動が宇宙に散逸しうる超高層大気組成を大きく変化させうることが明らかになった。これには下層から伝搬する大気重力波が中層大気で砕破・飽和することで乱流活動が活発になり、均一圏界面高度を大きく変化させうることが原因であることが明らかになりつつある。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 7件、 査読あり 9件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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