研究課題
地球半径6倍以内に位置する内部磁気圏に生じるPc5地磁気脈動(周波数:1.7-7.0mHz)の活動度をモニターするために、あらせ衛星を中心とした複数の人工衛星が観測した磁場データから、地磁気脈動指数を導出している。本年度はあらせ衛星の磁場データにみられる2-3mHzの継続的なノイズの原因調査と、ノイズ除去について検討を行った。あらせ衛星の姿勢データにみられる2-3mHzをもつ周期的な擾乱が、あらせ衛星の磁場データにみられるノイズと相関が高かったことから、磁場データの継続的なノイズは姿勢データに起因するものであることが明らかになった。姿勢データのノイズの原因を調査するために、姿勢データのノイズの特性を詳細な調査を行ったが、磁場データにみられるノイズの本質的な解決には繋がらなかった。また、磁場の時系列データから人工ノイズを除去する方法を幾つか試したが、2-3mHz付近の周波数をもつ自然擾乱も取り除いてしまうため、時系列データからノイズを取り除くことはできなかった。そこで、地磁気脈動指数を導出する際に用いる磁場のパワースペクトルから2-3mHzの周波数帯を取り除いて計算することで、強制的に2-3mHzの周波数帯を取り除いた。また、指数導出の際の上限周波数を22mHzに上げ、Pc4地磁気脈動(周波数:7.0-22mHz)にも対応するように指数導出方法を改めた。この地磁気脈動指数を用いて、サブストーム由来の地球夜側で発生する地磁気脈動の調査を行った。サブストーム由来のち時期脈動の空間特性を調べることで、地磁気脈動の励起機構を明らかにすることができた。
2: おおむね順調に進展している
ノイズの原因調査やノイズ除去の方法確立に時間がかかったものの、最終的に地磁気脈動指数から人工ノイズを除去することができた。また論文も出版できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
今年度の研究によってノイズが除去されたあらせ衛星の地磁気脈動指数と、太陽風パラメータや放射線帯電子フラックスとの比較を改めて行い、地磁気脈動指数と太陽風・放射線帯との関係を明らかにする。さらに地上観測から導出された地磁気脈動指数や、あらせ衛星とは異なる軌道を持つ内部磁気圏観測衛星の磁場データによって導出された地磁気脈動指数との比較を行い、それぞれの特性について考察を行う。
昨年度に引き続き学会はオンラインで開催されたため、当初予定していた旅費を使用しなかった。また、データのノイズ除去方法の確立に時間がかかったため、論文執筆や出版が当初予定していたよりも進まず、次年度使用額が生じた。差額の助成金は、成果発表に使用する予定である。
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Journal of Geophysical Research: Space Physics
巻: 127 ページ: 1-18
10.1029/2021JA029677
巻: 127 ページ: 1-17
10.1029/2021JA029840