研究課題
地球半径6倍以内の内部磁気圏の地磁気において観測される周期的な波動であるPc5地磁気脈動(周期150-600秒)は地球周辺を取り巻く放射線帯のダイナミクスに関連があることが知られている。本研究では、あらせ衛星やRBSP衛星が観測した地磁気データから周期600秒以下の波動の強度を表す地磁気脈動指数を導出し、太陽風パラメータ、地磁気活動度との関係を調べることを目的としている。最終年度はこれまで、地磁気脈動指数を導出する上で問題となっていた衛星姿勢由来のノイズ(周期330-500秒・周波数:2-3mHz)と、地磁気脈動指数の関係について詳細に解析を行った。その結果、姿勢データを用いるとノイズの閾値を定めることが可能となることがわかり、地球半径の5倍以上の位置で導出される地磁気脈動指数には2-3mHzの波動成分を含めることができた。また、前年度に高周波(7-22mHz)側に拡張した地磁気脈動指数を用いて、地磁気脈動と低エネルギーのプラズマの関係について調べた。2018年8月末に起きた大規模な磁気嵐の回復相で、夜側(磁気地方時22-02時)の地磁気脈動指数が大きくなる期間に着目し、地磁気脈動の低エネルギーイオン質量密度の時間発展について詳細に調査した。この調査によって、磁気嵐時に地球の大気から宇宙空間へ噴き出す酸素イオンが地磁気脈動の周波数に関与した結果、夜側の地磁気活動を大きくすることを明らかにした。
すべて 2023 2022
すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)